デザインを構成する三大要素

私の考えでは、デザインには大きく3つの要素があります。それは、以下の3つです。① 意匠性:どのような見せ方をしているか② 機能性:どのような機能を含めているか③ 体験性:どのような体験を与えるのかこれらの要素は、ユーザー […]

私の考えでは、デザインには大きく3つの要素があります。それは、以下の3つです。
① 意匠性:どのような見せ方をしているか
② 機能性:どのような機能を含めているか
③ 体験性:どのような体験を与えるのか
これらの要素は、ユーザーにとっても大切で、上記の順番で実感されることが多いと考えています。デザインを制作する場合には、この順番の逆で考えたり、ヒアリングしたるする必要があります。もちろん他にも大切な要素は多くありますが、大きく分けると上記の3つの要素に分類されると考えています。

実感する順番とは

実感する順番とは、相手の顔から人物像を判断するのと同様に、ユーザーが最初に何を見て判断するかという順序のことです。例えば、見た目が良くないデザインでは、ユーザーは機能性を実感する前に離れてしまいます。また、機能性が悪ければ、想定した体験を提供できなくなってしまいます。もちろん、全てが当てはまる訳ではありませんが、デザイン作業を始める前にこのような思考のテンプレートを用意しておくと、様々な場面で役立ちます。それでは、この三大要素について、説明します。

ユーザーにポジティブな印象を与える「体験性」

デザインの目的によっては、体験性が非常に重要であり、それがはっきりしている必要があると考えています。例えば、コンビニでお弁当を見た時に、見た目が美味しくなさそうだったり、食べにくそうだったり、何の料理か分からない場合、ネガティブな感情を与えることがあります。このような場合、別の商品を選ぶことになります。つまり、目的に合ったポジティブな体験を提供する必要があります。最初の体験は、デザインから提供されると思われます。

ただ、オシャレに作ること、つまり意匠性にこだわることがデザインだという考えは大きな間違いです。重要なのは、何を目指しているのかです。例えば、ブランドサイトの場合、目的はブランドイメージの確立や向上です。そのため、意匠性にこだわります。例えば、20代男性が好みそうなカッコいい見た目のデザインを作成します。ただ、一般企業がこのようなデザインを真似しても、目的を達成する可能性は低いです。多くの企業サイトに必要なのは、信頼感や分かりやすさであり、若者向けのカッコよさではありません。

目的達成のための補助ツール「機能性」

機能性では、目的達成のためにどのような機能が必要なのかを考えます。体験性が先に決まっていると、必要な機能を決定する判断材料にできるので、選定が楽になります。例えば、商品Aの売上を向上させる目的があるとします。まずは体験性を考え、その後、必要な機能を選定します。売上アップが目的となると、EC機能が最初に思いつきますが、商品Aを既に楽天などに掲載している場合は、他の機能性を考える必要があります。例えば、資料ダウンロード機能やお問い合わせ機能です。場合によっては、チャット機能を付与することで、体験性の向上につながります。また、扱う商品が多数ある場合は、検索機能が必要です。

体験性を向上させるために、機能が必要な場合もあります。例えば、家族層がターゲットであり、家事を手助けする商品を販売している場合は、ブログ機能を付けることで、体験性を向上させるのに効果的です。動画コンテンツなども、ユーザーが使う場面を想像しやすくなり、ポジティブな感情を与えやすくなります。

体験させるための工夫「意匠性」

体験性の説明でも、意匠性について少し触れましたが、もう少し掘り下げてみましょう。そもそも意匠とは、美しく見せるために工夫を凝らすことです。意匠性はもっとも難しい所で、奥が深い要素です。中でも私が最も大事にしていることは、「見やすく・見つけやすく・読みやすく」作る事です。パッと見て文字がごちゃごちゃしていると、読む気が無くなってしまいます。また、読みたい情報がどこにあるのか分からないと、ユーザーが迷ってしまいます。読み辛いレイアウトになっていては、ユーザーはそのデザインを見る気が無くなってしまいます。このように、意匠性とはデザインの顔の様な役割を担っており、いくら機能的でも、意匠性が劣っていると、ユーザーにネガティブな感情を与えてしまいます。

意匠性にこだわるのは間違いではない

見た目にだけこだわったデザインが、悪いという事はありません。似たようなモノやサービスが既にあって、差別化を図ることが難しく、ブランドイメージの差も特にない場合は、見た目にこだわるしかありません。逆に言うと、意匠性で与える印象だけでも、差別化する必要があります。また、厳しい言い方ですが、商品やサービスにこだわりが無いものは、見た目でごまかすしかないという事になります。

目的がないデザインは存在しない

デザインを行う上で最も重要なことは、実は上記の3つの要素ではありません。説明の最中にも少し出てきましたが、最も重要で、欠けてはいけない物は、デザインの「目的」です。上で紹介した3つの要素は、あくまで目的を達成するための要素です。デザインは目的を達成するために存在する物なので、目的が何もないのであれば、デザインは存在できません。

世にあるデザイン全てには、何かしらの目的が存在します。何となくオシャレに見えるから、というデザインも存在するかもしれませんが、なぜオシャレに見えるデザインを選択したのか、という理由はあるはずです。

まとめ

この三大要素と目的を独立して考えてしまうのではなく、合わせて考える事が重要です。すべてのコンテンツや媒体で目的も体験も機能も同じという事はありません。例えば、Webサイトであれば、ブログの機能を付けたいとお客様から要望があった場合、制作側は体験性と意匠性を決める必要があります。そして、順番的には、ブログを入れることで、ユーザーに何を体験させたいのか、という体験性を先に決める必要があります。逆に意匠性を先に決めると、デザイン制作が難しくなります。要は、土台を作ってないのに家の見た目を決めるのと同じです。実際制作してみたら、思っていた物と全然違うものが完成してしまいます。まず、何を目的としているのかという事と、ターゲット層を明確にすることが土台になります。